スコアは最小フレームレートに注目 グラフィックスメモリ容量が最大のポイントか

実際にプレイした感じでは,ストレスを感じることなくプレイできるギリギリのラインは平均30fps以上,最小10fps以上。快適さを感じられるようになるラインは平均40fps以上,最小10fps以上だったと述べつつ,ここからは描画設定,解像度設定ごとにスコアを見ていこう。

 以下,グラフは平均フレームレート順に並べるが,グラフ3は,標準設定における1600×900ドットの結果は,ご覧のとおり,GeForceが上位を独占した。とくにGTX TITANシリーズのスコアが全体の中で一段高い。
 一方,R9 290XをはじめとするRadeonはGTX 760にすら届いていない。これは「GTAVがGameWorksタイトルだから」と言ってしまえばそれまでなのだが,実のところ,ここで注目したいのは平均ではなく最小フレームレートのほうだ。というのも,今回のテスト設定では標準設定の1600×900ドットでもグラフィックスメモリ使用量が3GBを超えており,グラフィックスメモリ容量が4GBに達していないGPU(というかグラフィックスカード)では,384bitメモリインタフェースを武器に踏ん張っていると思われるR9 280X&R9 280を除き,最小フレームレートが大きく落ち込み,俗にいう「カクつき」が生じているのである。もっとはっきり言うと,平均フレームレートが56.7fpsに達するGTX 780 Tiは,グラフィックスメモリ容量が3GBということもあって,ベンチマーク中にカク付きが見られるのに対し,グラフィックスメモリ容量が4GBのR9 290は,平均フレームレートこそ47.1fpsながら,目に見えるカクつきが大幅に低減されている。この違いは大きい。

 

 続いてグラフ4は標準設定,解像度1920×1080ドットのスコアをまとめたものだ。グラフィックスメモリ使用量は約3.3GBとなるが,GTX TITANシリーズがトップ3で,その後にGeForceが続き,Radeonは下位という平均フレームレートの傾向はグラフ3と大きく変わらない。
 ここでのポイントは,384bitメモリインタフェースでも支えきれなくなったR9 280XとR9 280の最小フレームレートが1桁台前半へ沈んだのに対し,グラフィックスメモリ容量が4GBを超えるGPUでは,最小フレームレート10fpsのラインを保てていることだろう。

 

 標準設定のまま,解像度を2560×1600ドットへ引き上げたときの結果がグラフ5となる。
 グラフィックスメモリ使用量が約3.5GBに達する本条件は,GTX TITAN Xの独壇場(独擅場)。また,512bitメモリインタフェースによる広帯域幅を生かして,R9 290シリーズがじわりと平均フレームレートベースの順位を上げてきている。一方,メモリバス帯域幅の制限によって,GTX TITANはスコアを落とした。
 グラフィックスメモリ容量が4GBを超えるGPUでは,このテスト条件でも10fps以上の最低フレームレートを維持できている点にも注目しておきたい。

 

 グラフ6は,高負荷設定における1600×900ドットのスコアだ。高負荷設定だと,この時点ですでにグラフィックスメモリ使用量が約3.5GBということもあり,グラフィックスメモリ容量が4GBに達しないGPUは,R9 280X&R9 280を除き,いきなり不利な状況に置かれている。上位陣は安泰ながら,R9 290X&R9 290がいきなりGTX 770超えの平均フレームレートを示している点も見どころだろう。

 

 解像度を1段上げた,高負荷設定の1920×1080ドットにおけるスコアがグラフ7となる。グラフィックスメモリ使用量が約3.7GBに達する本条件では,やはりR9 280XとR9 280の最小フレームレートが一気に落ちていき,グラフ5と同じ理由でGTX TITANの平均フレームレートが落ちていくが,むしろここで最も注目したいのは,GTX 970の最小フレームレートが1桁台前半に落ちたことだ。GTX 980では状況に大きな変化がないことからすると,おそらくここでは,俗にいう「GTX 970のVRAM 3.5GB問題」が顕在化しているのではなかろうか。

 

 グラフ8,今回のテストにおいて最も描画負荷の高い,高負荷設定の解像度2560×1600ドットにおけるスコアとまとめたものである。
 ここではグラフィックスメモリ使用量が約4.2GBに達するため,R9 290XとR9 290ですら,メモリ容量が足りなくなる。R9 290X&R9 290とグラフィックスメモリ容量の同じGTX 980でも足りなくなってしかるべきなのだが,最小フレームレートが10fps超で留まっていることからすると,ここには何か,GameWorksがらみの最適化が入っているのかもしれない。

 

 なお,下に示した表2~7は,グラフ3~8における各テスト(=Pass)の最小フレームレートをまとめたものだ。なぜわざわざ表にまとめたのかと思う人もいるだろうが,見てもらうと分かるとおり,グラフィックスメモリ容量が足りている場合はPass 4のスコアが最小となるが,足りない場合はPass 0が最小となるのだ。
 たとえばGTX TITAN Xはすべてのテスト条件でPass 4のスコアが最も低く,一方,GTX 960だとPass 0でスコアが極端に下がっている。

 

 

 


 さて,最後にグラフ9は,ベンチマークテスト実行中に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」で,システム全体の消費電力を計測した結果だ。おおむね予想どおりの結果というか,やはり,第2世代Maxwellアーキテクチャを採用するGPU,GTX 960やGTX 970,GTX 980,GTX TITAN Xの消費電力が低めである。